描きかけのラブレター


友達が「面白いから読んでみー」ってことで貸してくれた本。直球な恋愛小説でした。
遠藤ユキオは美大をめざす高校生。卒業間近に親友から円に告白したいので彼女の肖像画を描いて欲しいと頼まれ、承諾してしまう。円との日々を思い出すユキオは一つの事実に辿り着く。円に恋していることに―― 
だそうです。なんというか、甘い感じです。円が好きだってことに気づいた後、気持ちをこめて?絵を渡すシーンとかちょっと好きかも。そのあと、大学と浪人生とで遠距離恋愛になりいろいろ問題が起きたり、円の義父の病気やその義父が円の東京行きを反対することなど盛り上がるところが明白で読んでてとても楽しかった。


「男の部屋で、寒いなんて言ったらね、暖めてって言ってるようなもんじゃないの」
「はい?」
「抱きしめて、そして、暖めて、言ってるってこと」
「だから、言わなかっただけ。寒いって」
     ・
     ・
     ・
「一回しか言わないからね」
「わたし、寒い」


ここら辺はもだえそうな感じで読んでたw甘いな〜。とろけそう。


第138回の芥川賞池澤夏樹の選評に(2008-02-11)
「なぜか最近の候補作には、寝そうで寝ない男女の仲をゆるゆると書いた話が多い。・・・自分の日常に近いと思って親近感で読む読者がいるのかもしれないが、小説というのはもっと仕掛けるものではないか。」
って書いてあった。これにはすごく賛成。昨年の芥川賞の「ひとり日和」とか正直どこがおもしろいのかわかんなかった。今、135回直木賞を受賞した森絵都さんの「風に舞い上がるビニールシート」を読んでるけど、これもこの選評にあるような感じでおもしろくない。それに比べると、「描きかけのラブレター」は内容は軽いけど山と谷があって、読んでて面白いと思う。