『異邦人』 アルベール・カミュ

異邦人 (新潮文庫)

殺害の動機は「太陽のせい」。
私に残された望みは「処刑の日に大勢の見物人が集まり、憎悪の叫びをあげて、私を迎えることだけ。」

フランス文学で有名な人。名前だけ知ってたけど、読んだことないので読んでみました。
母の葬式の後、海に行き、女性と出会い、その後、友人の銃で人を殺害する。そして、裁判が開かれ、判決は死刑となってしまう。
ストーリーはこの流れ。陪審員制度が引かれ、母の葬式で泣かないから人間性を疑われ、葬式の後に女性と関係をもったから疑われ…と。不条理さを追求した作品らしいです。あとがきで、カミュが

母親の葬式で涙をながさない人間は、すべてこの社会で死刑を宣告されるおそれがある、という意味は、お芝居をしないと、彼が暮らす社会では、異邦人として扱われるよりほかはないということである。

と書いてあった。人間は生活を円滑に回すために常に嘘をつかなくてはならない。この主人公はそういうことをしない。それはどういった到達点なのでしょうか？